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オーケストラこぼれ話

Episode 13

あの巨匠カラヤンと親交があり最期をみとった一人といわれている大賀典雄さんは、とても多才でバイタリティー溢れる方でした。芸大の声楽家を出られ、ソニーの会長をしておられたとき、当時は東フィルの理事長に就任していました。東フィルを指揮していただいたときは、様々なシンフォニーの曲を次々と振ってくださいました。軽井沢には、ご自分の名前のホールをお建てになり、年に数回大賀典雄指揮で演奏会がありました。2001年には中国公演がありました。大賀さんは海外には自家用ジェットを自ら操縦していたそうです。その中国公演の最中、悲劇が起こりました。本番のチャイコフスキーの演奏中、大賀さんの姿が指揮台から消え、私たち楽員は一瞬何が起きたのか分かりませんでした。気がつくと、コンサートマスターの荒井さんが大賀さんの体を抱きかかえていました。意識はなく、すぐ病院に搬送され、その日の演奏会は中止になりました。くも膜下出血だった大賀さんは帰国して、しばらくすると、吉報が届きます。奇跡的に回復しているとのこと、さすが大賀さんだと、皆胸をなでおろしました。

 

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