NEWS

オーケストラこぼれ話

Episode 9

世界的に有名なダンサー、バレリーナが集う「世界バレエフェスティバル」の公演は3年に1度、東京文化会館で開催されます。私たちはオーケストラピットで演奏していました。

この公演は、各国のバレエ団から1人、2人来日し、連日違うプログラムを1演目ずつ踊る(バレエガラ)夢のようなステージです。毎回来日していた当時パリオペラ座のパトリック・デュポン氏はスター性もあり大人気でした。公演中は楽屋の前にあったソファーで各国のダンサーたちが楽しそうに談笑していました。デュポン氏は茶目っ気があり、レオタードの上から浴衣(滞在中のホテルのものかしら?)をはらりとはおり、ウクライナ出身の当時ボリショイバレエ団のウラジミール・マラーホフ氏や出番が終わったばかりのダンサーをつかまえてはキャッキャッと楽しそうにしていたのを思い出します。

それまでバレエが女性のものだと思っていました。デュポン氏やベジャールバレエのジョルジュ・ドン氏の踊りを観て間違いだったことに気づきます。ジョルジュ・ドン氏の踊りは圧巻でした。ベジャール振付の「ボレロ」はひとりの主役(ジョルジュ・ドン氏)を男性の群舞が囲み、曲の終わりに向かって踊りが徐々にエキサイトしていきます。あまりのすごさにピットの中から呆然としていたのを思い出します。主役は女性が踊る場合もあり、シルヴィ・ギエムさんや日本人では唯一、上野水香さんが踊っておられます。

シェアする