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オーケストラこぼれ話

Episode 4

指揮者の山田一雄先生はとてもチャーミングでお茶目な方でした。指揮台の上では飛び跳ねたりしながら指揮棒を振ってらっしゃった為、数々の逸話が残されています。東京文化会館の本番中に客席に落下されましたが、何事もなかったかのように指揮をしながら舞台上に登ってこられ演奏を続けられたと聞いたことがあります。

先生がお亡くなりになる少し前に、定期演奏会でシベリウスの交響曲第2番を演奏しました。練習時それぞれのパートがかみ合わず、ずれてしまった箇所がありました。

「先生、そこちょっと分からないのですが」楽団員のひとりがたずねました。

「もしかして、僕をあてにしてる?」

「どこかで合図出してるはずなんだけど」先生は両手の手首、ひじ、肩のあたりをくねくねさせてみせました。

一同、大爆笑でした。

私にとっては、「ヤマカズ」とよばれて楽団員たちに愛された偉大なマエストロとの最初で最後の演奏会でした。

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